機械猟犬
逃亡者の匂いを追って襲いかかる、八本脚の機械の番犬。麻酔針で標的を仕留め、体制に逆らう者を狩る。
機械猟犬とは、レイ・ブラッドベリの小説『華氏451度』に登場する、逃亡者を追跡するための八本脚の機械のこと。消防署に据えられ、匂いの記憶をたどって標的を探し出し、薬剤を注入する針で無力化する。
この機械には、憎しみも意志もない。誰を追うかは入力された情報が決めるだけで、その判断に迷いは生じない。説得も交渉も、相手の側に受け取る仕組みがないゆえ、この機械に追われる者には、逃げる以外の道がない。物語の終盤には、追跡の様子が娯楽番組として中継される場面も置かれている。
人間が罰を下さなくなると、暴力は感情ではなく仕組みとして動き始める。そこには説得も、情状酌量もない。機械猟犬は、暴力が誰の手にもよらず遂行される社会を、一匹の装置として示している。責任の所在が消えることは、追われる側にとっては何の慰めにもならない。
Fahrenheit 451 Ray Bradbury / 1953
A society where owning books is forbidden, and any that are found are burned. Montag, a fireman whose job is to burn them, meets someone who leads him to question the thought and the words he has helped destroy.