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Thought

スペクタクルの社会

現実の経験が、映像やイメージ、消費される見せ物に置き換えられていく社会。人は生きる代わりに、与えられるイメージを眺めて過ごす。

来歴

スペクタクルの社会とは、フランスの思想家ギー・ドゥボールが提示した概念で、直接に生きられていた経験が、映像やイメージを通して眺めるものへと変わっていく社会のあり方を指す。

ドゥボールの言うスペクタクルは、単に映像や広告が増えることではない。人と人との関係そのものが、イメージを介した関係に置き換わっていくことを意味する。人々は同じものを眺め、それについて語り、そのイメージを通して世界とつながる。しかし、眺めているあいだ、人々はそれぞれ孤立したままである。スペクタクルは、人々を同じものの前に集めながら、同時に互いを切り離していく。

ドゥボールが批判したのは、映像や広告の内容が良いか悪いかということではない。人々が自分で世界を経験するのではなく、世界を「眺める側」に置かれてしまうことそのものだった。この概念が今も古びないのは、スペクタクルが強制だけによって成り立つのではなく、面白さや快楽を通して人々を引きつける仕組みでもあるからだ。飽きれば別のものを眺めることはできる。しかし、眺める者としての位置から抜け出すことは容易ではない。