焚書
書物を所有・閲覧することが禁じられ、発見された本は焼却されること。知識へのアクセスを断つことで思考を統制する手段として描かれる。
来歴
焚書とは、思想弾圧や統制の手段として書物を焼き捨てることを指す用語で、レイ・ブラッドベリの小説『華氏451度』では、それが国家の日常業務として描かれている。書名は、作中で紙が燃えはじめる温度として説明されている数値に由来する。
また作中、本が禁じられた理由は、独裁者の命令ではないと語られる。速く、短く、当たりさわりのないものが好まれ、長く読むこと、考えて黙り込むことが疎まれていくうちに、誰も本を求めなくなった。誰かの気分を害する記述は削られ、やがて残ったものが焼かれるようになる。禁書は上から降ってきたのではなく、社会の欲望や無関心とも結びついて成立したものとして描かれている。
焚書という主題を通して、この作品が見ているのは、本を取り上げる力よりも、読まないことを選ばせる社会の側と言えるかもしれない。