文学やアニメ、映画、思想など、「ディストピア」に関連する言葉のギャラリーです。

用語一覧へ戻る

思想

統治性(ガバメンタリティ)

人を力で抑えつけるのではなく、一人ひとりが自分から「望ましく」振る舞うよう仕向ける統治の技法。命じられなくても、人は自分で自分を管理するようになる。

来歴

統治性とは、ミシェル・フーコーが一九七〇年代後半の講義で示した概念で、人を力で押さえつけるのではなく、一人ひとりが自分から望ましく振る舞うように仕向ける統治の技法を指す。

フーコーが問うたのは、統治とは誰が誰を治めることかという点である。彼の整理では、近代の統治は人口や経済を対象とし、直接に命令する代わりに、環境や条件を整え、人々が自ら選ぶように仕向ける。自己管理、自己責任、自己啓発といった言葉が広がるとき、それは統治が退いた印ではなく、統治が個人の内側へ移された印だと読まれる。

命じられていないという実感は、抵抗の必要を感じさせない。統治性という概念が示しているのは、自由に選んでいるという経験そのものが、統治の産物でありうるということである。誰も強いていないのに全員が同じ方へ歩いているとき、何がそう仕向けたのかは問われにくい。

出典

ミシェル・フーコー