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思想

ハイパーリアル

現実と虚構の境が溶け、複製やイメージのほうが、もとの現実より本物らしく見えてくる。地図が土地を、写真が出来事を追い越していく。

来歴

ハイパーリアルとは、ジャン・ボードリヤールが『シミュラークルとシミュレーション』(1981年)などで用いた語で、複製やイメージが、もとの現実よりも本物らしく感じられる状態を指す。

ボードリヤールが引くのは、帝国と同じ大きさに描かれた地図をめぐる寓話である。寓話では、帝国が衰えるとともに地図が朽ちていく。ボードリヤールはそれを反転させ、いま朽ちつつあるのは土地の側だと述べる。彼の見立てでは、複製はもはや何かの写しではなく、写す対象を持たないまま自立している。私たちが触れているのは出来事ではなく、出来事として整えられた像のほうだという指摘である。

本物と偽物を見分けよ、という主張ではない。この概念が難しく、また離れがたいのは、見分けるための「もとの現実」がすでに手元にないと言われている点にある。像のほうが先に届き、経験があとから像に合わせられていくとき、確かめるという行為の意味も変わる。

出典

ジャン・ボードリヤール『シミュラークルとシミュレーション』