沈黙の螺旋
自分は少数派だと感じた人から順に、孤立を恐れて口をつぐんでいく。そうして残った多数派の声だけが大きく響き、いつしかそれが「みんなの意見」になる。
来歴
沈黙の螺旋とは、ドイツの世論研究者エリザベート・ノエル=ノイマンが一九七〇年代に提示した理論で、少数派だと感じた人から順に発言をやめ、その結果、多数派の声だけがいっそう大きく響いていく過程を指す。
前提にあるのは、人は孤立を恐れるという見方である。人は周囲の空気を絶えず読み取り、自分の意見がどちらに属するかを推し量る。分が悪いと感じた側は口を閉ざし、その沈黙が「やはり少数だ」という印象を強め、さらに次の人を黙らせる。実際の人数の分布と、見えている分布とが、次第に離れていく。
多数意見は、多数であるがゆえに強いのではなく、強く見えることによって多数になる場合がある。意見の分布を左右するのに、検閲は要らない。何も禁じられていない場所でも、口をつぐむ理由は十分に足りる。
出典
エリザベート・ノエル=ノイマン『沈黙の螺旋』