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物語

ビッグ・ブラザー

全市民を監視する独裁的指導者の象徴。実在するかどうかすら不明だが、その「眼」はあらゆる場所に存在する。街じゅうのポスターには、「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」という標語が掲げられている。

来歴

ビッグ・ブラザーとは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する架空国家オセアニアで、党を体現する指導者として掲げられている存在を指す。街のいたるところに「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」という標語を添えた肖像が貼られ、市民は日々その視線のもとで暮らしている。

作中で、ビッグ・ブラザーが実際に姿を現すことはない。生きているのか、そもそも実在したのかも明かされないまま、党の決定はすべてこの名のもとに語られる。人格を持った一人の指導者というよりも、党が人々に見せるために用意した顔として置かれている。

姿のない指導者は、それゆえに否定することができない。批判すべき相手が肖像と標語のかたちでしか存在しないとき、反対の意思は向ける先を失う。ビッグ・ブラザーが象徴しているのは、特定の個人ではなく、見られているという感覚そのものの上に成り立つ支配である。

出典

1984年 ジョージ・オーウェル / 1949

全体主義国家が支配する近未来。党は人々の言葉と記憶までも統制し、〈ビッグ・ブラザー〉の名のもとに思考そのものを監視する。下級党員ウィンストンのささやかな反逆を描く、ディストピア文学の原点。

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