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物語

愛情省

窓のない冷徹な要塞に置かれた、党に反逆した者の精神を拷問と洗脳によって徹底的に破壊する機関。ビッグ・ブラザーへの心からの愛と忠誠を抱かせることを目的として存在し、監視の果てに行き着く、すべての反逆者の終着駅。愛情省という名称とは裏腹に、「恐怖と絶望」が支配する。施設内には、「101号室」と呼ばれる最も恐ろしい拷問・洗脳室がある。

来歴

愛情省とは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する、オセアニアの四つの省庁のひとつで、治安と秩序を担う機関を指す。窓のない巨大な建物で、有刺鉄線と武装した警備に囲まれ、外部の者が近づくことはできない。

この省が扱うのは、処罰ではなく転向である。連行された者は、まず尋問と拷問によって自白へ導かれ、次に長い時間をかけて、党の言うことを心から正しいと思う状態へ作り替えられる。最後に置かれるのが、その人だけの恐怖を突きつける101号室である。処刑は、憎しみが消え、党への愛だけが残ったあとに行われる。

反逆者を殺すのではなく、反逆した自分ごと消してから殺す。愛情省という名は、そこで目指されているものを言い当ててもいる。求められているのは服従ではなく愛であり、支配が人の内面のいちばん奥まで届いたとき何が起きるのかを、この機関は体現している。

出典

1984年 ジョージ・オーウェル / 1949

全体主義国家が支配する近未来。党は人々の言葉と記憶までも統制し、〈ビッグ・ブラザー〉の名のもとに思考そのものを監視する。下級党員ウィンストンのささやかな反逆を描く、ディストピア文学の原点。

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