1984年
ジョージ・オーウェル
全体主義国家が支配する近未来。党は人々の言葉と記憶までも統制し、〈ビッグ・ブラザー〉の名のもとに思考そのものを監視する。下級党員ウィンストンのささやかな反逆を描く、ディストピア文学の原点。
この作品から生まれた言葉 14
2+2=5
明らかな事実でさえ、権力が「そうだ」と言えばそうなる状態を表す式。誤りを口にさせるだけでなく、自分の目や記憶より権力の判断を信じるところまでを求める。
ニュースピーク
思考そのものを制限するために設計された人工言語。語彙を減らしていくことによって、体制に反する概念自体を「考えられなくする」。その言葉が失われれば、その思考や認識も生まれなくなる、という考え方のもと、ニュースピークは、体制側にとって人々を操る装置として機能する。
ビッグ・ブラザー
全市民を監視する独裁的指導者の象徴。実在するかどうかすら不明だが、その「眼」はあらゆる場所に存在する。街じゅうのポスターには、「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」という標語が掲げられている。
思想犯罪
体制に反する思考を抱くこと自体が犯罪とされる概念。行動ではなく、内面や思考そのものが処罰の対象となる。
記憶穴
都合の悪い記録を焼却する巨大な焼却炉の投入口。新聞記事や写真、反体制派の存在記録など、不都合なものは、この記憶の穴に次々放り入れる。過去の事実は消し去られ、「なかったこと」になる。歴史を支配者に都合よく書き換えるために使われる。作中、スローガンとして、「過去を支配する者は未来を支配する。現在を支配する者は過去を支配する」という言葉も出てくる。
二重思考
矛盾する二つの信念を同時に受け入れ、どちらも正しいと信じる思考法。体制への完全な服従を可能にする。
テレスクリーン
各家庭や街角に置かれ、プロパガンダ映像を流しながら、同時に人々の行動や会話を監視し続ける装置。モニターと監視カメラの両方を備えているような装置で、監視には思想警察が当たる。「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」を体現するように、テレスクリーンは、音を絞ることはできても、完全には消せない。
思想警察
家や街にあるテレスクリーンと呼ばれる監視装置などによって、人々の内面を事細かく見張り、体制に反する思考(思想犯罪)を摘発する秘密警察。密告と徹底した監視網によって、心の中の反逆さえも見逃さない。
101号室
ビッグ・ブラザーへの愛と忠誠を抱かせるための、洗脳と拷問の場である愛情省。その奥にあり、誰もが恐れる101号室。徹底的な監視体制によって囚人一人ひとりの「この世で最も恐ろしいもの」が把握されており、それを突きつけられた者は、最後に残った愛さえも自分の口で裏切り、心を空にさせられる。
非在人間(アンパーソン)
粛清によって抹殺され、あらゆる記録から名前や痕跡を消された人物。公式には「最初から存在しなかった」ことにされる。
二分間憎悪
党員が毎日集まり、体制の敵とされる人物の映像へ二分間、憎しみを叫ぶ儀式。共通の敵への憎悪を共有させることで、人々を体制へ結束させる。
真理省
ニュースや記録、歴史そのものを体制に都合よく書き換える省庁。過去を絶えず修正し、「党は常に正しい」を成り立たせる。
プロール
人口の大半を占めながら、党から「取るに足らない」と放置されている労働者階級。監視は緩い代わりに、貧しさの中で真実を知らされずに生きる。
愛情省
窓のない冷徹な要塞に置かれた、党に反逆した者の精神を拷問と洗脳によって徹底的に破壊する機関。ビッグ・ブラザーへの心からの愛と忠誠を抱かせることを目的として存在し、監視の果てに行き着く、すべての反逆者の終着駅。愛情省という名称とは裏腹に、「恐怖と絶望」が支配する。施設内には、「101号室」と呼ばれる最も恐ろしい拷問・洗脳室がある。
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