電脳化(でんのうか)
脳を直接ネットワークにつなぐ技術。利便と引き換えに、記憶や知覚に他者が侵入し、書き換える「ハッキング」の危険に人はさらされる。
来歴
電脳化とは、士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』に描かれる技術で、脳に手を加え、ネットワークへ直接つなぐことを指す。記憶の検索も、他者との無言の会話も、機器の遠隔操作も、思考のままに行える。作中の社会では、これが特別な処置ではなく、ごく一般的な選択として普及している。
接続できるということは、接続されうるということでもある。作中では、他人の電脳へ侵入し、知覚を書き換え、記憶を差し替える犯罪が描かれる。被害者は、見ているものが偽物だと気づけない。ありもしない家族の思い出を頼りに生きている人物が登場する場面は、その帰結を静かに示している。
便利さと危うさは、同じ配線の上にある。電脳化という設定が問うているのは、技術の是非よりも、記憶と知覚が外から書き換えられる世界で、自分が自分であることを何によって確かめるのかという点である。