ゴースト
身体を機械に置き換えてもなお残るとされる、その人を「その人」たらしめる何か。だが偽の記憶さえ植えられる世界では、その本物さを誰も保証できない。
来歴
ゴーストとは、士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』で用いられる語で、身体を機械に置き換えてもなお残るとされる、その人をその人たらしめている何かを指す。作中では、魂とも意識とも言い切られないまま、実務的な言葉として扱われる。
電脳化が行き渡り、身体を機械に置き換えることも可能になった世界では、身体も記憶も交換の対象になる。それでも、根拠を示せない直観がゴーストの働きとして語られ、そこに最後の拠りどころとしての位置が与えられている。一方で、そのゴーストを外から侵す「ゴーストハック」が存在することも、同じ作品が描いている。
確かなものとして語られながら、それが本物である保証はどこにもない。ゴーストという語が担っているのは、答えではなく問いのほうである。人間を構成する部品がすべて置き換え可能になったとき、残っていると信じられているものは何なのか——作品はその問いを、解かないまま提示し続けている。