文学やアニメ、映画、思想など、「ディストピア」に関連する言葉のギャラリーです。

用語一覧へ戻る

物語

ギレアデ

出生率の低下を口実に生まれた宗教的独裁国家。女性は役割ごとに管理され、財産や名前、読む自由さえ奪われる。

来歴

ギレアデとは、マーガレット・アトウッドの小説『侍女の物語』に描かれる、アメリカ合衆国の一部を占めて成立した、宗教的独裁国家を指す。出生率の著しい低下を背景に、聖書の言葉を典拠として掲げながら、女性の身体と生活を国家の管理下に置く。

体制は一夜にして完成したわけではない。非常事態を理由に議会が停止され、女性の口座が凍結され、職を追われ、やがて役割ごとに分類されていく過程が、主人公の回想として断片的に語られる。当時それを異常と感じながらも、日常が続いているという理由で受け流していた記憶も含まれている。

体制の名は、旧約聖書に登場する地名に由来する。信仰そのものではなく、信仰の言葉や象徴が統治の道具として利用されている点が、この国家の描かれ方の核にある。ギレアデが示しているのは、権利が奪われる瞬間だけでなく、それが「正しいもの」として語られながら少しずつ進む過程こそが、最も見えにくいということである。

出典

侍女の物語 マーガレット・アトウッド / 1985

出生率の激減を口実に成立した宗教的独裁国家〈ギレアデ〉。女性は財産も名前も奪われ、役割によって管理される。子を産むために配された“侍女”オブフレッドの視点から、抑圧の日常を描く。

PR作品を見る