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物語

緑の壁

都市と外の自然界を完全に隔てる巨大な壁。内側だけが“文明”とされ、人々は管理された世界の外を知らずに生きる。

来歴

緑の壁とは、エヴゲーニイ・ザミャーチンの小説『われら』に登場する、単一国と外の自然界とを隔てる巨大な障壁を指す。ガラスで作られたその壁の向こうには森が広がり、人の手の入らない生が続いている。

市民にとって、壁の外は関心の対象ですらない。理性と数式で組み立てられた都市の内側だけが世界であり、外にあるものは克服された過去として扱われる。物語が動きはじめるのは、語り手が、ある女性と出会い、やがて壁の外にも人の生があると知ってからである。

壁は、人を閉じ込めるだけでなく、外の世界を見せないためにも存在する。緑の壁が示しているのは、管理が行き届いた社会では、外部は価値のないものとして意識から消えていくということである。壁の内側で完結した世界には、自らを疑うための比較対象がない。

出典

われら エヴゲーニイ・ザミャーチン / 1924

すべての市民が名前ではなく番号で呼ばれ、ガラス張りの部屋で時間割どおりに暮らす〈単一国〉。個人の感情や自由が“非合理”として排除された世界を描く、20世紀ディストピア小説の源流。

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