リリース(解放)
老人や規格外の赤ん坊、規則を破った者に行われる“解放”。穏やかな言葉で呼ばれるが、その正体は安楽死である。
来歴
リリース(解放)とは、ロイス・ローリーの小説『ギヴァー 記憶を注ぐ者』に登場するコミュニティで、ある人々に対して行われる措置を指す。対象となるのは、高齢になった者、規格に満たないまま生まれた子ども、規則を重ねて破った者である。
コミュニティの人々は、その言葉を穏やかな門出として受け取っている。式が催され、送り出しの挨拶が交わされ、その後どうなるかを問う者はいない。物語の後半、主人公ジョナスは記録映像を通じて、その実際を目にすることになる。生まれたばかりの双子の、小さいほうに注射を打っていたのは、彼の父だった。
リリースという一見すると柔らかな語が示しているのは、残酷さを隠すのに秘密は要らず、誰もが穏やかな呼び名を使い続けるだけで足りる、ということである。作中で最も恐ろしいのは、その行為そのものよりも、それを行う者の手つきの静かさである。
出典
ギヴァー 記憶を注ぐ者 ロイス・ローリー / 1993
争いも苦しみもない、完全に管理された共同体。だが人々は色も感情も、過去の記憶さえ失っていた。ただ一人〈記憶を注ぐ者〉として世界の真実を受け継ぐ少年ジョナスを描く。
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