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物語

ルドヴィコ療法

暴力や悪への衝動を、強烈な吐き気と結びつけて消し去る矯正治療。犯罪は防げても、自分で善悪を選ぶ自由そのものを奪ってしまう。

来歴

ルドヴィコ療法とは、アントニイ・バージェスの小説『時計じかけのオレンジ』に登場する矯正治療を指す。薬物を投与された被験者は、投薬によって吐き気や嫌悪感を引き起こしながら、目を開いた状態で固定され、暴力的な映像を見せ続けられる。その結果、暴力や性への衝動と、激しい嘔吐感が結びつけられていく。

処置を受けた主人公アレックスは、暴力を思い浮かべるだけで身体が受けつけなくなる。彼はもはや誰も傷つけられない。ただし、傷つけないことを選んだわけでもない。この点をめぐって刑務所付きの牧師が異議を唱える。善を選べない者は、もはや善人ではないのではないか、と。

犯罪が減ることと、人が善くなることは同じではない。ルドヴィコ療法が突きつけるのは、行いだけを取り出して直そうとするとき、その人から選ぶ余地──過ちうる自由──もろとも取り除かれるという事実である。

出典

時計じかけのオレンジ アントニイ・バージェス / 1962

暴力に耽る少年アレックスが、国家の矯正治療〈ルドヴィコ療法〉によって“善良”に作り替えられる。犯罪を防ぐことと、自分で善悪を選ぶ自由を奪うことのあいだを問う物語。

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