予言機械
個人の未来さえ計算し予告する電子頭脳。だが機械が語る「これから」は、それを聞いた者の「いま」を静かに奪っていく。
来歴
予言機械とは、安部公房の小説『第四間氷期』に登場する電子頭脳を指す。当初は政治や経済の予測に用いられていた機械が、やがて特定の個人の未来を言い当てる装置として使われはじめる。
作中で試みられるのは、ある人物の来歴と現在の状態を入力し、その人が明日以降どう振る舞うかを機械に語らせることである。予言が示されたとき、聞いた側の現在は変質する。何を選んでもすでに書かれていたことになるからで、物語はその不気味さを、主人公自身の身の上として進めていく。
未来を知ることは、未来を奪われることに近い。この作品が扱っているのは技術の当否よりも、予測が示された瞬間に、人が自分の時間をどう手放してしまうかという問題である。機械の答えが正しいかどうかは、その前に決着がついている。
出典
第四間氷期 安部公房 / 1959
未来を予告する電子計算機〈予言機械〉が完成した世界。その予言をめぐる殺人事件の裏で、水没していく地球に備え、鰓で呼吸する新しい人類を秘かに育てる計画が進んでいた。日本で最初の本格SF長編とされる。
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